最終更新日:2026 年 10 月 22 日
年末の棚卸しはいつ必要か
国税庁の「令和 7 年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」(PDF)は、個人事業者の売上原価を「年初(期首)の棚卸高 + 年間の仕入高 − 年末(期末)の棚卸高」で計算すると説明しています。そのため年末の棚卸高を調べる必要があり、手引きには次のように書かれています。
- 時期:12 月 31 日に行います。多忙で年末にできない場合は前後の日に行い、12 月 31 日との間の売上げ・仕入れから 12 月 31 日現在の棚卸高を計算し、その計算方法を明らかにしておきます。
- 方法:商品の種類・品質・型などの別に、数量を実地に調べます。
- 例外:商品出入帳などで毎日の在庫量を明らかにし、毎年一定の時期に実地棚卸しで正否を確かめている場合は、帳簿から年末の棚卸高を計算して、年末の実地棚卸しを省略できます。
Shopify の在庫数をそのまま棚卸高にできるのは、その数が実数と合っている場合だけです。だからこそ、年に一度は実際に数えて合わせます。法人の決算や評価方法など個別の扱いは、税理士にご確認ください。このページは実務上の目安であり、税務上の助言ではありません。
棚卸しの前に:Shopify の数を比べられる状態にする
棚卸しは「Shopify 上の在庫数」と「棚にある数」の比較です。前者が動いていると、比較は最初から狂います。Shopify ヘルプセンターの「Shopify POS での在庫数確認の計画」をもとにした準備は次のとおりです。
- 処理中のものを終わらせる:保留中の注文、在庫移動、出荷を完了させ、すべての動きを管理画面に反映させます。
- 時間を選ぶ:営業終了後(販売が止まっている間)に数えるか、大きな棚卸しは数日に分けてゾーンごとに進めます。
- 商品名ではなく場所で分担:1 人に 1 つの物理的なゾーン(棚、ラック、倉庫の区画)を割り当て、終わったゾーンを記録して二重カウントを防ぎます。
- 先にバーコードを整える:破れたラベルは貼り直し、端末とスキャナーを充電しておきます。
- いくつかの商品を事前に確認し、管理画面の手持ち数(On hand)と比べて、おおよその傾向をつかんでおきます。
棚卸し中
- 検索ではなくスキャン。 Shopify のガイドも、バーコードスキャナーの方が商品名で探すより速く正確だとしています。スマホのカメラでも同じことができます。
- あるはずの数ではなく、ある数を数える。 ゼロも含めて、見たままの数量を記録します。
- システムが知らないものはメモする。 どの商品にも一致しないバーコード、別のロケーションにあった商品。対応は棚卸しの後にします。
棚卸しの後:書き換える前に確認する
- 多い・少ない・未カウント。 誰もスキャンしなかった商品は、本当にないのか、数え忘れなのか。答えによって、ゼロにするか、そのままにするかが決まります。
- 大きな差は数え直す。 Shopify は、差異が 5% を超えるバリエーションは実物を数え直すよう勧めています。
- 記録し忘れた動きを探す。 ロケーション間の在庫移動の記録漏れが、多くの「ロス」の正体です。
- 証拠を残す。 帳簿上の数、数えた数、行った調整。Shopify の「Stocky から Shopify の在庫管理への移行」も、元のエクスポートファイル、カウントしたファイル、インポートログを監査証跡として保存するよう勧めています。
Shopify の在庫を更新する 3 つの方法
1. 管理画面の在庫カウント(在庫数)
Shopify ヘルプセンターの「在庫数の作成と管理」と「在庫カウントの実行と確認」によると:
- パソコンのブラウザで、管理画面の「商品管理」>「在庫」>「在庫数」から作成・管理します。1 つの在庫数は 1 つのロケーションが対象で、バンドルはカウントできません。同じバーコードが複数の商品に割り当てられていると、スキャン時にエラーになります。
- 商品は検索して選ぶか、バーコードをスキャンして追加します。
- 管理画面で数量を入力するか、バーコードスキャナーでスキャンします(1 回のスキャンで 1 つ加算)。複数のスタッフが同時に同じカウントで作業でき、一時停止して再開することもできます。Shopify POS Pro を利用しているロケーションでは、スタッフが Shopify POS アプリでもカウントできます。
- マネージャーにレビューを依頼するか、自分でカウントを完了します。承認すると在庫レベルが更新され、承認は(レビューなしで完了した場合も)元に戻せません。
ちょっとした確認には、Shopify POS のクイックカウントが使えます。1 回のカウントセッションで最大 1,000 件のバリエーションまで調整でき、送信した時点で数量が反映されます。
2. CSV のエクスポートとインポート
Shopify ヘルプセンターの「Exporting and importing inventory with a CSV file」(英語)にある方法です。在庫を CSV で書き出し、表計算ソフトで数えた数量を入れて、インポートします。
- On hand (new) 列に新しい数量を入れます。On hand (current) はエクスポート時点の数です。エクスポート後に在庫が変わった行は取り込まれず、失敗した行の詳細がメールで届きます。売れた分を上書きせずに済みますが、その商品は数え直しが必要です。
- ファイルは 15 MB を超えられません。
- アプリも POS のプランも不要です。手間は表計算にかかります(数量の入力、行の照合、取り込まれなかった行の処理)。
3. 棚卸しアプリ
標準の在庫カウントで基本的な作業はできます。アプリが役立つのは、次のような場合です。
- スタッフが自分のスマホで数えたい(Shopify のアカウント、POS の契約、スキャナーなしで)。
- 倉庫の電波が弱く、スキャンをスマホに保存して後で送りたい。
- ロケーション全体、コレクション、仕入先(ベンダー)、タグなどの範囲をまとめて数えたい。
- 棚卸しの結果を書き出したい、原価で評価した差異の報告書を印刷したい。
- ロスを理由別(盗難、破損、期限切れ)に記録したい。
Stocky を使っていた場合
Shopify の「Stocky から Shopify の在庫管理への移行」によると、Stocky は 2026 年 2 月 2 日に App Store から削除され、2026 年 8 月 31 日で利用できなくなりました。その後少なくとも 90 日間は、データを書き出すための読み取り専用アクセスが残ります(90 日後は 2026 年 11 月 29 日)。完了した発注書のレポート(CSV)、棚卸しの履歴、過去の原価データは、Stocky のレポートから手動で書き出す必要があります。仕入先は書き出せません。Shopify は、ロケーション全体の在庫調査やサイクルカウントには管理画面の在庫数のカウントを使うよう案内しています。
MT: Stocktake & Stock Count でできること
MT: Stocktake & Stock Count は、上の手順(帳簿数の固定、カウント、確認、反映)を Shopify の中で行うアプリです。
- どのスマホもスキャナーに。 管理画面に表示される QR コードを読むと、スマホのブラウザでスキャン画面が開きます。スマホへのアプリのインストール、ログイン、POS のプランは不要。複数のスマホで同じ棚卸しに参加でき、スキャンは端末名付きで記録され、取り消せます。バリエーションに登録したどのバーコードでも認識します。
- Shopify POS のレジからも。 Shopify POS の「Stock count」タイルから、進行中の棚卸しに参加できます。
- バーコードのない商品は、商品名や SKU の一部を入力して一覧から選べます。
- ケースのバーコード(任意):ケースのバーコードを「24 個入り」として一度登録すれば、ケースをスキャンするだけで中身 24 個を数えます。
- 電波が切れても続けられる。 スキャンはスマホに保存され、接続が戻ると送信されます。
- ブラインドカウント。 作成時にチェックを入れると、スマホと集計画面には数えた数だけが表示され、帳簿上の数や差異は見えません。帳簿上の数と差異は「Finish & review」の後に表示されます。
- 範囲を選んで数える:1 つのロケーションの全商品、コレクション、仕入先、タグ、商品タイプ、保存したゾーン。数日に分けてゾーンごとに数えるのに便利です。
- 実在庫(On hand)を数える。 各行の帳簿上の数は Shopify の On hand(未発送の注文分や、破損・検品中の分も含む、ロケーションに実際にある数)です。棚にあるものをすべて数えれば、差分だけが反映されるので、売れた分は注文用に確保されたままです。
- 棚卸し中に動いた在庫は反映しない。 棚卸し中に Shopify から在庫の変動(販売、出荷、入荷)が届いた商品は、反映時に更新されず一覧に出て、現在の在庫から数え直せます。正確に数えるため、反映するまで対象商品の出荷・入荷・移動は控えてください。
- 反映前の確認画面:多い・少ない・未カウント・不明なバーコード、差異の原価評価額。未カウントの商品をそのままにする(部分棚卸し)か、ゼロにする(全数棚卸し)かを選べます。
- ワンクリックで反映、間違えたら取り消し。 調整は理由「Cycle count」で Shopify に書き込まれます。反映ボタンを押すまで何も書き込みません。反映後も、確認のうえ取り消せます(その後の販売は残ります)。
- 印刷できる報告書:反映した調整を原価で評価して一覧にします。有料プランでは Excel・CSV で書き出せます。
- ロスの記録:盗難・破損・期限切れ・入荷ミスなど理由別に、原価で評価します。
できないこと:発注書、在庫移動、需要予測、ラベル印刷。管理画面とスマホのスキャン画面は現在日本語に対応していません(管理画面は英語、スキャン画面は英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語・オランダ語)。
料金:無料プランは期限・試用期間なし(全ロケーション、1 回 5,000 バリエーション、端末 2 台)。月額 9 ドル(1 回 10,000 バリエーション、端末 5 台)、月額 19 ドル(無制限)。スキャン数・棚卸し回数による課金はありません。ご利用ガイド(英語、画面写真付き)で棚卸しの流れを確認できます。
Shopify App Store で MT: Stocktake & Stock Count を見る
よくある質問
Shopify に棚卸しの機能はありますか?
あります。Shopify 管理画面の「商品管理」>「在庫」>「在庫数」で作成する在庫カウントです。1 回のカウントは 1 つのロケーションが対象で、商品は検索またはバーコードのスキャンで追加します。管理画面で数量を入力するかバーコードスキャナーで数え、POS Pro のロケーションでは Shopify POS アプリでも数えられます。最後に確認して承認すると在庫が更新されます。承認は元に戻せません。
Shopify POS がなくても棚卸しはできますか?
できます。管理画面で作成した在庫カウントは、管理画面で数量を入力するか、バーコードスキャナーでスキャンして数えられます。在庫を CSV でエクスポートして数え、インポートし直す方法や、棚卸しアプリを使う方法もあります。MT: Stocktake & Stock Count は Shopify POS を必要とせず、スマホのブラウザで数えます。
棚卸しの途中で注文が出荷されたらどうなりますか?
CSV の方法で、On hand (current) と On hand (new) の両方の列を含めてインポートすると、Shopify はエクスポート後に在庫が変わった行を取り込まず、その行の一覧をメールで知らせます。その商品は数え直します。営業時間外に数えれば、ほとんどの場合は避けられます。
個人事業者は棚卸しをいつ行う必要がありますか?
国税庁の「青色申告の決算の手引き」によると、棚卸しは 12 月 31 日に行います。多忙で年末にできない場合は前後の日に行い、その間の売上げや仕入れから 12 月 31 日現在の棚卸高を計算して、その計算方法を明らかにしておく必要があります。法人や個別の事情については税理士にご確認ください。
Shopify と Stocky は Shopify Inc. の商標です。Merchant Tools は独立した開発者であり、Shopify とは提携していません。